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起業ファイナンスレポート2016

一般社団法人未踏の活動の一環として、起業のファイナンスなどに関してのレポートを公開します。 このレポートは森・ 濱田松本法律事務所の増島雅和先生にまとめて頂きました。

本レポートのタイトルは「金融的手法によるイノベーター支援方法の 可能性に関する調査 報告書 創業・資金調達関連ドキュメントについて」ですが、このタイトルのせいで自分に関係ないことだと勘違いされて読まれないのはもったいないので、ここで簡単に解説します。

あらすじ

このレポートには6つの章があります。

「I. 課題と背景」の「(4) 本報告書の狙い」は、想定しているシナリオが「創業前の個人がIPAなどからの支援を得て技術開発を行い、開発成功後に民間から資金を得てベンチャーファイナンスモデルに移行する」というものだと解説しています。そして、そのシナリオを実現するために有用な契約書などのファイナンス関連書類を提案し、またその書類の条項がどういう意図のものかなどの解説を行なったものがこのレポートであることを解説しています。

「II. 創業前のイノベーターに対する金融的支援」は、IPAなどの公的組織を想定読者とした章です。未踏卒業生のみなさんにはピンとこないかも知れませんが、その場合は第III章まで読み飛ばしてもよいでしょう。この章では、公的機関が委託元となってイノベータがそれを受託する「受託モデル」の課題と、新たな「知的財産権オプションモデル」の提案を行います。これは知的財産権のコールオプション(将来譲り受ける権利)を公的機関が買う形で資金を提供するものです。

「III. 起業(会社の設立と運営)」では、法人の形にはビジネスモデルによって3類型があり、ベンチャー企業型だけが選択肢ではないことを解説しています。「(4) 株式会社の設立と運営の IT 化」ではfreee社の会社設立プラン、Moneyforward社の会計処理サービスなどを紹介しています。

「IV. チームアップ」の「2. 創業者株式の仕組みとアレンジメントの必要性」は、これから複数人で起業する人にはぜひ読んでほしいところです。ざっくり言えば「創業者株式は5年間創業者として期待される役割を果たすことに対しての対価なのに、それを先払いで渡して、その後何らかのトラブルで役割を果たせなくなったらどうするのか?」という問題に対する解決策についての話です。事前に条件を満たせない場合には株式を返してもらう契約を結ぶわけですが、日本特有の財源規制という条件下でどうするとよいのかが解説されています。

「V. シードマネーの調達 (1)」では、ベンチャーファイナンスの中でも難しいフェーズであるシードファイナンスについて解説します。ファイナンスにお金を掛けられない状況下で、その後のファイナンスが続くような正しい構造のファイナンスを行わなければいけないことが、難しさの原因になっています。そこでこのレポートではシンプルで正しい構造の資金調達のひな型を2種類提案します。この章ではその片方、優先株式を用いた資金調達のひな型について解説します。

「VI. シードマネーの調達 (2)」では、コンバーティブルエクイティを用いた資金調達のひな型について解説します。第V章で解説したような優先株による資金調達は、株式の内容を投資家との間で交渉する必要があり、小さいシードマネーの調達には大げさです。かといって普通株式を発行するのでは起業家側の課題を解決しません。この解決のため、米国ではコンバーティブルノート、日本では新株予約権付社債を使って「お金を貸し付けて、後からそれを株式に転換する」という実務が行われてきました。しかし「貸付→転換」という仕組みでは、発行者が債務超過状態になることや、「返済を求められない」というコミュニティ内の慣習が契約上明記されていないことなどが問題視されています。そこで生まれたのがコンバーティブルエクイティで、日本では新株予約権を有償で発行する形の実務が一般的です。この章ではこの有償新株予約権を用いた資金調達のひな型について解説します。

Future work

投資家と起業家には情報の格差があります。 例えば、投資家側が起業家側に投資契約書を提案した場合、 起業家側に比較対象となる情報がないと「どうしてこの条項必要なの?」などの議論の糸口を見つけづらくなってしまいます。

今回、起業家側に立った契約書ひな型を公開することで「投資家側案」と「起業家側案」の2つを比較することができ、 対等な議論がしやすくなるのではないかと期待しています。

How to contribute

このレポートはこれで完成形ではなく、これをたたき台に議論をしたり、意見や事例を収集してアップデートされていくべきものと考えています。 フィードバックを大歓迎します。GithubのIssuesやPull Requestsの機能を使ってもよいですし、未踏社団の事務局 head-office@mitou.org にメールを頂いても構いません。

このレポートおよびこのリポジトリにおかれた解説文章のライセンスはCC-BY 2.0とします。 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/jp/ また契約書ひな形に関しては、パブリックドメイン扱いとし、社団は著作権を主張しません。未踏卒業生に限らず、どなたでも自由にお使いいただけます。

2016年4月リリース

About

起業時の資金調達などに関するレポートです

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